コース
セミナー1:日本の「住(すまい)」を「包む」―自然素材と建築(オンライン開催)
日時: 2021年8月7日(土)14:00~15:30
日本の「住」を考えると、私達が包まれる空間を構成する素材には、さまざまな自然素材が使われていることに気づきます。建築史家の石田さんに、「日本の伝統パッケージ」と日本建築の共通点に触れながら、「包む」という視点から建築と素材について、また、日本人が大切にしてきた「素木(しらき)」の精神性や表現についてもお話しいただきます。
講師:石田潤一郎(いしだじゅんいちろう) (京都工芸繊維大学名誉教授、武庫川女子大学教授 / 建築史家)
京都大学大学院博士課程修了(建築学)。 1987年「近代日本の府県庁舎に関する建築史的研究」で工学博士。日本の近代建築研究の第一人者で、「関西の近代建築」など著書・論文多数。武田五一、村野藤吾、藤井厚二などの建築の技術と意匠の論究および展覧会企画・協力も行う。2003年度日本建築学会賞(論文)、2015年度日本建築学会賞(業績:共同)など受賞多数 。
主な著書:『日本の建築〔明治大正昭和〕7 ブルジョワジーの装飾』(三省堂、1980)、『屋根のはなし』(鹿島出版会、1990)、『スレートと金属屋根―近代の屋根変遷史』(LIXIL出版、1992)、『都道府県庁舎―その建築史的考察』(思文閣出版、1993)、『関西の近代建築 ウォートルスから村野藤吾まで』(中央公論美術出版、1996)、『関西のモダニズム建築』(監修、淡交社、2014)など。
セミナー2:紙を「折る」「包む」―空間に拡がる光と影(オンライン開催)
日時: 2021年8月14日(土)14:00~15:30
一枚の紙で山折り谷折りを連ねていくと、構造的な立体が生まれます。「折る」というとてもシンプルな作業から導き出される造形は、日本の伝統的な「折形」にも繋がり、その形には凛とした美しい陰影が生まれます。”局紙”を使って造形作家として活躍する西村さんに、紙の魅力でもある山折り・谷折りに宿す思いや可能性についてお話しいただきます。
講師:西村優子(にしむらゆうこ)(造形作家。折形デザイン研究所所属)
日本大学芸術学部デザイン学科卒業後、筑波大学大学院修士課程芸術研究科デザイン 専攻構成分野修了。大学で「建築デザイン」を学び、大学院で「構成」を学ぶ。日本の建築を構成する要素の一つである「紙」に関心を持ち、「折り」をデザイン的観点と文化的な観点から研究し、折りの技術による作品制作を始める。2007年頃から、谷折り・山折りを基本とした数学的な作品制作を本格的に始め、現代的で洗練された作品を生み出し続けている。
国内外で個展、グループ展で作品発表を行うとともに、企業やホテルなどインテリアやディスプレイのコミッションワーク多数。目黒区美術館では、2013 年に開催した「PAPER―紙と私の新しいかたち―展」に出品。作品制作活動以外には、2005年からグラフィックデザイナー山口信博主宰の「折形デザイン研究所」に所属し、新しい折形について探究している。
セミナー3:「包む」を構造から読み解く―バスケタリーの可能性(オンライン開催)
日時:2021年8月21日(土)14:00~15:30
豊かな自然に恵まれた日本の生活では、身近な植物素材を編む文化が発展してきました。素材と構造の関係を観察し、絡める、結ぶ、組む、もじる、巻く、織るなどの方法で「かご」を作り出しているクリエイティブなバスケタリー作家の関島さんに、「包む」とかごつくりに共通する素材利用の知恵を読み解いていただきます。
講師:関島寿子(せきじまひさこ) (バスケタリー作家。多摩美術大学生産デザイン学科客員教授)
津田塾大学英文学科卒業。1975~1979年ニューヨークで暮らし、アメリカの現代工芸の動きと出会う。「かご」をテキスタイル(織物)の一種ととらえ、植物素材の形質と、絡める、結ぶ、組む、巻く、織る、捩るなどとの関係を組織構造として立体に組み上げる独自の方法を創り出す。英国Victoria and Albert Museumでの「Japanese Studio Crafts」展(1995)、 「素材の領分展」東京国立近代美術館工芸館(1994)、「世界を編む展」横浜美術館(1999)等、国内外の展覧会に多数出品及び作品収蔵。 主な著書:『Basketry』(英文)(講談社インターナショナル、1987)、『バスケタリーの定式』(1988住まいの図書館出版局、1988〕。